夏がうごく。

ちょっと勝てたゲームで良い気になって

そのあとの努力をしない子供でした。

ひょいと半馬身ほどその身を乗り出して

ゴールテープを切った人間の後続には、

後日、その何倍もの努力を重ねはじめる者がいるというのに。

「おちこぼれだったんで」と微笑って話す料理長が

きっと、何倍もの努力で覚えただろうぶあつい玉子焼は

どこか地中海の島の美しいタイルの様でもあり。

 

ちょっと勝って良い気になった

なまけ者には到底とどかない。

海の向こう。

8月も二日目——夏がうごく。