もぐらたたき。
このお店をはじめるとき、私たちは、
自分たちの店の自立をさほど難しいことではないと考えていました。
当時をふり返れば、さささっと認められて
周りにスマートにふるまおうという節すらありました。
題して「威張るための道のり」
そこを目指す方法はいたってシンプルなもので――。
あたりまえのことをあたりまえに。
よく聞く単純明快なテーマです。
あたりまえのことは、私たちにとっては
た や す い こ と 。
と、普段からそう本気で考えていたものですから
目が覚めるには――反省するには十分の――時がかかりました。
にもかかわらず
ちょっと混む日がつづけば
「あたりまえのことをやっているだけ。かんたんだよ」と、
みにくい自己満足のしこりが、
もぐらたたきのもぐらのように心にひょっこり顔を出すわけです。
この5年で会得した技のひとつは、
このたいして何も考えていないもぐらによく似た、
自分の頭を自身でさっとたたける反射神経がついたことでしょう。
ああいやだ。