肉が食べたい。(かたまりで)
「いつもどうやって料理を考えるのですか」
というご質問で会話に花の咲く時があります。
――料理を考えるときは
テーブルやカウンターに向かいながらですね、
とおこたえすることが多いです。
時節に合いそうなお皿を何枚か持ってきては
私たちの中にいる、いく人かのお客さんになりきったつもりで
たとえばこんな天気なら、どなたと、どんな会話をされるだろう?
最初はビールかシャンパンか。それともハナからワインか日本酒か。
思いを巡らせて釣り糸でも垂らすようにきっかけを待ちます。
決して押し付けにならないよう気をつけます。
その結果、ここ数日はお肉じゃないかな、と思ったんです。
理由を書くと長すぎて、
読まれながらきっと寝られてしまうと思ったので割愛しますが
シンプルに焼きあげてナイフで好きな幅に切って
ぎゅうと噛みしめてもらう。
シンプルに焼くだけなんてとっても難しいです。
どんな気分の料理にしたって
近道はないと知っていることだけが
私たちの唯一の強みのようなものです。