何かの一番を目指したい~8年目のご挨拶にかえて。
2010年の10月に開店してぐるり7年。
8回目の秋です。
このレストランの業界には数々の一流がいらっしゃいます。
食材集めのプロ、発想のプロ、技術のプロ、
知識のプロ、サービスのプロ。
開店して以来、私たちはいつも諸先輩方を見て学び
伺って学び、食して学び、想像して学んできました。
そうした学習を続けるうちに気づいたことはただひとつ。
「かなわない」ということでした。
なにひとつかなわない。到底たちうちできない。
じぶんたちのアラばかりに気づいてしまう、良く言うならば課題。
以前、とある名店のシェフがご来店されたときに
おしゃっていたことが印象的です。
「毎日怖い、いつも自信がない」
その意味がここにきて、ようやく、少しだけわかる気がするのです。
私たちは毎日怖い、いつも自信なんか少しもありません。
良い食材やお酒は手に入るだろうか。
手に入ったら入ったで生かした形でご用意できるだろうか。
盛り付けは、食欲をそそるものだろうか。
盛り付けたら事故無く運べるだろうか。
ご提供のタイミングは悪くなかろうか。
喜んでもらえそうか。
時間を楽しんでもらえるだろうか————。
しかしながら。
こわいこわい、と言ったところで、仕方ないですから。
気持ちを奮い立たすしかありません。
何かの一番を目指すとすれば、
それはどの店よりも「一番怖がりながら」
のれんを掛け続けるしかないのです。
と思うようにしています。
8年目を迎えることができたことに深謝いたします。
そな田代表 小野寺 弘祐